Gil Scott-Heron(1949-2011)
Gil Scott-Heronは19歳の頃に最初の小説『The Vulture』を出版するほど、早くから文才を認められていました。
その後、Gil Scott-Heronはポエトリーリーディングという、音楽に詩をのせて歌うスタイルのアーティストになります。
ポエトリーリーディングは今で言うとHipHopのラップなどに近いですが、Gil Scott-Heronはよりメロディに乗せて詩を歌います。
Gil Scott-Heronの多くの曲はジャジーで洒落た黒い音楽。
洒落た音楽なんて言うと少し軽率かもしれませんが、この洒落っ気こそが異国の若者たちの心も掴めた大きな要因だと思います。
それでは極上ジャジーな演奏に詩をのせて歌う、黒いボブディランことGil Scott-Heronの名盤をご紹介します!
傑作!Winter in America
正式に盟友Brian Jacksonとの共作名義になった『Winter in America』(1974年)。
暗いアメリカの時代を表現したタイトルからしても、明るいアルバムではありませんが、悲しんでいるだけではなく、そこには希望の灯や励ましも感じます。
アルバム内容紹介
Gil Scott-Heron作品の中で、最も愛されているであろうスーパークラシック・ジャズファンク「The Bottle」収録の本作ですが、それ以外の曲も負けていません。
「Back Home」もかっこいい1曲ですし、 心鎮まるような黒いエレピとGil Scott-Heronが歌う「A Very Precious Time」 や「Song For Bobby Smith」なども聞き惚れてしまう名曲。
そして終盤の、静かに熱く語る「Your Daddy Loves You」も名曲です。
アルバム1枚を通して聴いて欲しい傑作。
極上ジャジー!Real Eyes
盟友Brian Jacksonとのコンビを解消し、Malcolm Cecil と組んだアルバム『Real Eyes』(1980年)。
どこをサンプリングしても様になりそうな、ジャジーな演奏にGil Scott-Heronが詩を乗せて歌う本作。
Hiphopでジャジーなトラックが好きな方は必見の作品です。
アルバム内容紹介
まずエレガント・ジャズ・ファンクな「The Train From Wshington」や 「A Legend In His Own Mind」。
他にもベースがビートを刻むのがかっこいい「Waiting For The To Fall」や夜の雰囲気を纏うジャジーナンバー「Combinations」など、ミディアムやスローがバランスよくアルバムに配置されています。
そして最後はWinter In America収録の「Your Daddy Loves You」が可愛らしいジャズファンクにナイスカバーされています。
クラシック!It’s Your World
大本命のレア・グルーヴ・クラシック『It’s Your World』(1976年)。
Gil Scott-Heron作品の中でも一番人気の作品かもしれません。
アルバム内容紹介
1曲目のキラーなジャズファンク「It’s Your World」を筆頭に、洒脱なジャジーナンバー「New York City」など人気作品になるのも頷ける音楽が並びます。
疾走感溢れるライブバージョンの「THE BOTTLE」もたまらない。
夜明けまで続くジャズ・ファンク・パーティーに酔いしれる1枚。
黒いボブディランと呼ばれ
黒いボブディランと呼ばれる彼ですが、クライヴ・デイヴィス(Arista)が詩人Gil Scott-Heronを売り出すために、当時『黒人のボブ・ディラン』としたことに由来するようです。
ちなみに彼自身はボブ・ディランの曲は知っていても、そんなに人々にとって特別な存在だとは知らず、特に似ているとも思っていなかったようで、本人曰く、
私が知る限り、ディランはハーモニカを吹く人で、私はピアノを演奏する。ディランは歌がうまくなかったが、私は歌が得意だった。それだけでも大きな違いだよ
WaxPoeticsJapan No.12
とのこと。
けっこう言います。
しかし、今でもしっかり黒いボブ・ディランで名が通っているので、案外そう遠くもなかったのかもしれないですね。
終りに
Gil Scott-Heronいかがだったでしょうか?
Gil Scott-Heronは他にも作品が多数あり、気に入った方であれば、どのアルバムもハズレがないので是非チェックしてみてください。
それではよいミュージックライフを!
コメント