MadlibはHIPHOPのトラックメーカーであり、自ら演奏、ラップ、DJもこなし、ヴィニールジャンキーであり音楽マニアとしても有名です。
音楽マニアらしく、ジャンルの垣根を越えたネタ選びで、様々な音楽を取り入れますが、コラージュの仕方やサウンドセンス、音楽の崩し方が突出しており、どんな音楽をサンプリングしても『Madlibの音楽』にしてしまいます。
作品数も多く、聴きやすいものから難解なものまでありますが、何をしても人々を唸らせるセンスはまさに鬼才です。
それではMadlibのおすすめアルバムや人気曲をご紹介します!
最高!Madvillainy
数あるMadlib作品の中から最初におすすめしたいのはMF DOOMとの共作、『Madvillainy』(2004年)です。
トラックをMadlibが作っています。
メランコリックで危ない香り、ジャジーでファンキーでメロウ。
JazzやSoul、コラージュされた様々なサウンドがMadlibのビートに刻まれ、唯一無二の世界を構築します。
2004年の作品ですが、今聞いてもカッコイイし、永遠にかっこいいHiphop。
大推薦盤。
Remix!Shades of Blue
MadlibによるBlue Note音源の公式Remixアルバム『Shades of Blue』(2003年)。
聴きやすく、単純にかっこいいので、普段HipHopを聴かない人にもおすすめできるアルバム。
Blue NoteのJazz音源をMadlibがジャジーでグル―ヴィーな音楽に仕立て上げています。
聴きやすさ、パンチ力、かっこよさ、トリプルAが三拍子揃った傑作Remix。
追悼!Beat Konducta : A Tribute to Dilla
次にご紹介したいのはBeat Kondacta名義の『 5-6 A Tribute to Dilla 』(2009年)です。
タイトルからも分かるとおり盟友J Dilla(1974-2006)に捧ぐ作品。
MadlibがメロウなソウルネタやHipHopらしいビートをDillaの遺作にして超名作、Donutsのようにショートトラックで紡いで追悼します。
ところどころ挟んでくるメロウなトラックで泣かせます。
Madlibの変名、別名義プロジェクト
Madlibは変名や別名義が多く、5人のメンバー全員が自分という、架空のバンドYesterday New Quintetや、そのメンバーの一人のMonk Hughesでのソロ活動などがあります。
他にもSound Direction、DJ Rels、THE LAST ELECTRO ACOUSTIC SPACE JAZZ PERCUSSION ENSEMBLEなど様々です。
しかも、どのプロジェクトも内容が濃く、バラエティーも豊かで、かつMadlibのヤバイ音楽センスが発揮されてます。
そんな鬼才ぶりを発揮しまくりな作品群の中から一部を紹介します。
Yesterday New Quintet : Stevie
MadlibによるStevie Wonderのカバーアルバム『Stevie』(2002年)。
Stevie Wonder好きに聞かすと、もしかすると怒られるかもしれないけれど、Madlibによるスモーキーメロウなジャジートラック。
Stevie Wonderのキャッチ―なメロディとローファイ美しい揺れるエレピがグルーヴィーに仕上がってます。
イケてる気持ち良すぎな1枚。
サンプリングだけじゃなく、自分で演奏してもヤバイのを作れるのがMadlib。
Sound Direction : The Funky Side Of Life
Yesterday New Quintetと近いですが、自身の演奏のみのYNQと違い、他のミュージシャンとのセッションによるプロジェクトがSound Directionです。
その唯一となるアルバム『Funky The Funky Side Of Life』(2005年)。
YNQによるカバーのような楽曲やダーティーでファンキーなトラックがいい感じの1枚。何してもやっぱかっこいい。
Monk Hughes : A Tribute To Brother Weldon
Yesterday New QuintetのメンバーMonk Hughes(Madlib本人)によるWedon Irvineトリビュート。
Stevie同様の作りを期待して聴くとぶん殴られる1枚。
フリージャズ的なカオスな要素があるので、最初に聴くと拒絶される可能性があるので、Madlibが好きになったら挑戦してほしい1枚。
Madlibによる、エクスペリメント・コズミック・ジャズグルーヴ!ほんと鬼才です。
危険な香り満載のMadlib
ここまでの紹介でもMadlibのヤバさが伝わっているとは思いますが、まだまだ魅力は尽きません。
お次はMadlibによる、アンダーグラウンドの空気感がたまらないHiphop作品を紹介します。
Lootpack : Soundpieces: Da Antidote
主にトラックメーカーとして参加していたLootpackのアルバム『Soundpieces: Da Antidote』(1999年)。
退廃的なストリートの気配漂うトラックがカッコ良すぎ。
最初からずば抜けたセンスの持ち主であることが分かります。
LootPack : Lost Tapes
こちらもLootpack作品で2004年の『Lost Tapes』。
超Lo-Fiサウンドの気だるいトラックに所々に顔を出すジャジーなサンプルがマッチします。
ナイスなアンダーグラウンドHipHop。
Quasimoto : The Unseen
Madlibがラップする別名義(別人格)のQuasimotoのファーストアルバム『The Unseen』(2000年)。
こちらのプロジェクトもHipHop然とした作品なのでLootpackが気に入った方にはおススメです。
ヘリウムガスを吸ってラップするMadllibの声がまたマッチするんですよねぇ…
伝説!Medicians Show
Madlibが月1でCDを出すというファン狂喜の企画が『Medicians Show』です。
全13枚からなるシリーズになっています。
13枚もあると、適当なアルバムもありそうなものですが、Madlibに関しては心配無用。
どれも期待を裏切らない、もしくは超えてくる内容です。
アルバムには順番にナンバーが振られており、奇数ナンバーがオリジナルアルバム、偶数ナンバーがMIXCDになっています。
ここまでにMadlibのオリジナルアルバムについては触れてきたので、ここで音楽マニアとしてのMadlibの片鱗がみえる、MIXCDにスポットを当ててご紹介していきます。
No. 2 : Flight to Brazil
Madlibのブラジル物のMIXCDです。
ブラジルのサンバ、ジャズ、ボサノヴァにIvan LinsやArthur Verocai、Celia、Marcos ValleなどのMPB勢、そしてブチかまされるTon zeのDor e dorがドープすぎて最高です。
ピストルや剣で武装し、酒瓶やコーラを散らかす宣教師とその他大勢という、侵略者たちの図のジャケットもインパクト大。
No.4 : 420 Chalice All – Stars aka Son of Super Ape
甘味なしのMadlibによる、ドープなDub、ReggaeのMIXCD。
ジャケットとタイトルはリー・ペリーのオマージュでしょうか。
ただ、私にとっては未だ来ていない分野なので語る資格なし。
しかしMadlibが好きでDubやReggaeを嗜む人は必聴でしょう。
No.6 : The Brain Wreck Show
このシリーズのMIXCDの中で一番度胆抜かれた1枚。
なにがなんだかわからないロックがブアンブアン鳴っています。(褒めてます)
こんな選曲してくるのは流石すぎです。
カオスロックグルーヴMIX。
シンプルにF〇CKしているウサちゃんジャケットのセンス。
No.8 : Advanced Jazz
このMIXCDの各タイトルに並ぶのはJazzの巨匠たちの名前。
Jazzの巨匠Miles、Cortraneなど並ぶ中に、(Sun)ra、RanelineやDeodatoが入っているのがMadlibらしい。
一筋縄ではいかないJazzMixCD。
ジャケットの船にはマイルスやコルトレーン風の人が見えるのでタイトルに並ぶメンバー全員が描かれているのでしょう。
このシリーズはジャケットも毎回楽しい。
No.10 : Black Soul
MadlibによるDisco&SoulなMixCD。
ソウルフルでキラーなブーギー満載、その名もBlack Soul。
シリーズ中一番パンチ力のある選曲。
普段からきっちりしたMixCDを聴いている人が聴いたら、かなり繋ぎがいい加減に思われるかもしれませんが、Madlibがやると、なにも気にしていないところがまたかっこいい!と、ならんでもない。
日本車の排気音がうるさいと低評価だけど、アメ車の場合はかっこいいみたいな。違うか…
No.12 : Raw Medicine: Madlib Remixes
MadlibによるHipHopのRemixMixCD。
シリーズの最後に原点回帰するMadlib。
もうぶっちぎりにかっこいいHiphopです。
このアートワークから悪い音は出てこないでしょう!
奇数ナンバーのオリジナルアルバムシリーズは基本はHipHopですが、どれもコンセプトがあって、めちゃめちゃかっこいいです。
つまり、このシリーズは全部買いが一番おすすめ(笑)
私も当然全部買いました ( ̄∀ ̄) v
Madlibの余談
ご紹介したように、とにかく多産なマッドリブです。
そして音楽製作面でもぶっとんです。
様々な名トラックをSP-303などのサンプラーだけで完成させて、しかも、作り終わって音源にしたらシーケンスデータを消去して次の音楽を作っているそうです。
いや、普通データ残すでしょ…
そして、2019年の『Bandana』の製作はi Padだけで作っています。
『美味しい料理を作るのに重要なのはキッチンでは無くシェフである』を地で行くスタイル。
作りなれた環境をホイホイ出ていく様はまさに鬼才。
って、感じで音楽製作面でも常人では考えられないようなエピソードが多々あります。
また様々な音楽をコレクトするMadlibですが、Jazzに関してはEgon(Now again主宰のヘビーコレクター)をもってして、歩くJazz百科事典と言わしめるくらいのマニア。
終りに
作品数が多いので長くなってしまいましたが、Madlibの作品はまだまだあります。
なので、これでもかなりアルバム紹介は抑えた方です(笑)
私が購入したMadlib関連作品だけでも、CDとアナログ、合計で80枚くらいありました。
それでも、まだまだ買えていないものが沢山あります。
Madlibは多産な上、うれしいことにインストバージョンのアナログもあったりで、しかも、そっちのほうが個人的に好きだったりする場合もあるので大変です。
マッドリブは生まれる時代が違っても、間違いなく後世に語り継がれるプロデューサーやアレンジャー、ミュージシャンになっていたでしょう。
時が過ぎ去り、もし全てが忘れ去られてしまっても、未来人がMadlibを再発掘した時には『ヤバイやつ 』と認識されることは間違いありません。
それではよいミュージックライフを。
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